今回は「芯々寸法」と「内法寸法」の違い。
「しんしんすんぽう」と「うちのりすんぽう」と読みます。
先日、リフォームを検討されるお客様との打ち合わせ中のこと。
既に他社さんからお見積りをいただいていたということですが、その営業さんとの折り合いが悪かったようで、私どもにお声がけいただいた…という経緯がある中で、
「図面に書いてある寸法は1820mmなのに実際に測ったらそんなにないし、いい加減な担当者だった…!」
とのお話が。
でも、他社さんの営業マンもいい加減なことをしていたわけではなく、私どもも図面表記上はそのように記します。
今日はそんなお話。
実は上記はよくあるうっかりポイントなのですが、単刀直入にご説明すると
建築物の面積は柱の中心を基準として面積を表します。


上の図は木造建築の壁の構造を上から見たものです。
左の図では、柱の中心から中心の寸法を1,820mmとして表記しており、これが“芯々寸法”です
実際には右の図の通り、柱の大きさ+胴縁(石膏ボードを張り付けるための木)+石膏ボード(壁紙を貼るボード)を考慮すると、実際に仕上がる壁の表面から反対側の表面までの寸法は
1,645mm(1,820-60-15-12.5-12.5-15-60)となり、これが“内法寸法”となります
以前のコラムでもお伝えした通り、柱の中心は基本的にモジュールに則して配置されるため、基本モジュールの倍数で表されます。
しかし、
「建具の枠寸法による制限」や、
「施工する住宅会社の仕様により胴縁は打たずに柱及び間柱に直接石膏ボードをうつ場合」
などの理由から同じモジュール内でも壁から壁までの寸法は微妙に変化する場合があります。
例えば、上記の仕様では芯々寸法で1,820×1,820=3.3124㎡(1坪)の面積を
内法寸法で表す場合、1,645×1,645=2.706㎡。
隣の同じ大きさの部屋は、建具枠の幅に制限があったので一面だけを内胴縁として1,645×1,660=2.731㎡
などと、微妙な変化が生まれてしまいます。
これでは、他との比較がしづらく、また施工上としても法律による管理上も煩雑さが増すので、
建築基準法上や登記簿上などは芯々寸法で部屋の大きさを表すことにする!というわけです。
(マンションなど区分所有のものは厳密に内法面積で登記されるようですが)
というわけで、図面に記載の寸法はあくまで仕上がりの寸法ではなく、部屋の大きさは記載の寸法よりも小さくなります。
更に、リフォームの場合は柱の傾き分をカバーする形で垂直な壁を作り直す際、柱の傾きの具合によりさらに寸法は小さくなります。が、この場合は解体後ではないとハッキリした仕上がり寸法はわかりません。(これはいつかまた詳しく…)
壁面収納などを隙間なく並べる想定の場合は、設計士や大工さんなどに
「ここにこれだけの寸法のものを置きたいんだけど、実際どれくらいの寸法になるの?」
と質問してみてくださいね。