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“真壁造り”と“大壁造り”何が違う

ホームページをリニューアルして、コラムページを作成しました。
1~2か月に1回程度、新しい記事を載せられればと思います。

さて、題名の通り第一回目のテーマは真壁造りと大壁造りの違いについてです。
この2種類の名称にはあまり聞き覚えはないかもしれませんが、どなたも必ず、どちらの工法についても一度は目にしているはずです。

“真壁造り”とは、柱と柱の間に壁面があり、柱が見えている造りを指します。
本来、日本の伝統建築では、壁は左官職人が塗り上げて造るものでした。

工程としては、柱と柱の間に竹木舞と呼ばれる壁の下地を編み、その上に粗塗り、中塗り、仕上げ塗りと順番に工程を重ね、時間をかけて壁を塗り上げていました。
今でも神社仏閣は真壁造りとなっていますし、一戸建てのご実家で和室だけが真壁造りとなっていたりと、見覚えがあるのではないでしょうか

“大壁造り”とは、柱や梁などの構造材を隠し、フラットな壁面を作る工法です。
壁面がフラットなので、家具などもきれいに収まりますし、なにより、構造材の割れや劣化が目に入りません。
これを読んでくださっているあなたの今いらっしゃるお部屋。大半の方が大壁造りなのではないでしょうか。

もともとは真壁造りが主流であった日本。なぜここまで大壁造りが普及したのでしょうか?

それは、戦後、高度成長期を経て1960年代に起きたマンション建設ラッシュでは、工期を短縮させ画一的な部屋を作ることが重要になりました。
そこで注目されたのが、石膏ボードを壁の下地として、仕上げに壁紙(クロス)を張る“大壁造り”です。
時間をかけて左官屋さんが壁を作るより、圧倒的に早く・きれいに工事が終わりますし、大工が誇りを持って鉋(木を薄く削り、表面を整える道具)をかけていた柱も、最終的に見えなくなるとなればその作業自体が必要なくなり、結果として人件費削減となりました。

大壁造り普及のもう一つの要因として、見えている柱の表面は無節が最良とされる昔ながらの価値観もありました。
しかし、無節の木材は枝打ち職人の手間がかかっている分、流通する際の材料費が高いのです。
大壁造りの柱は節があっても隠れてしまうので、ここで材料費も削減できるわけです。

結果的に、早くて安くて見た目はキレイ。当時の建設業界にとってはメリットばかりの大壁造りはマンション建設ラッシュ後も一般住宅にも採用され、とうとう現在に至るまで大壁造りが最もスタンダードな工法となっています。

どちらにも長所・短所はありますが、次回は以上二つの工法のメリット、デメリットをご説明できればと思います。

長々とした文章、お読みくださりありがとうございました。

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